<碑文から> ナウマン象発掘地点
ナウマン象の化石は、1966年(昭和41年)の印旛沼捷水路工事でブルドーザーによる掘削作業中に発見されました。
当時日本で頭、胸、足の骨がそろって発見されたのはこれが初めてで、貴重な資料であったため発掘調査が行われ、約3万年前の化石であることが判明しました。
復元されたナウマンゾウは、体高2.17m、体長3.4mで現在のアフリカ象に似ています。
この化石があった地層は、以前そこが沼地であり、象が水辺で沼に落ち込んで死んだものと思われ、台地の崖から崩れ落ちた土砂に埋もれてしまったものではないかと考えられています。
平成8年3月 印旛村教育委員会
千葉県立房総のむら 風土記の丘資料館
印西市双子公園 ナウマン象モニュメントと解説文
ナウマン象について
一、 今から約一万年前まではアジア大陸に生息していた。
一、 最近では野尻湖(長野県)、北海道でも発掘されている。
一、 印旛村で発掘された事から考えられることは、
イ、アジア大陸と陸続きであった。
ロ、発見された地層から沼地は当時からあった。
ハ、ナウマンゾウは水のみに沼に近寄り泥水にはまった。
以上のような事が考えられる。
千葉県立中央博物館
千葉県立中央博物館
成田市(旧下総町)猿山で発掘されたナウマンゾウの頭蓋骨の複製(実物は国立科学博物館蔵)
千葉県立中央博物館
印西市(旧印旛村)で発掘されたナウマンゾウの下顎骨の複製(実物は国立科学博物館蔵)
千葉県立中央博物館
千葉県立中央博物館
印西市(旧印旛村)で発掘されたナウマンゾウの大腿骨の複製(実物は国立科学博物館蔵)
千葉県立中央博物館 大利根分館
国立科学博物館ニュース 1969.7の記事から
ナウマン象を復元する
1966年5月千葉県印旛郡印旛村瀬戸の成田層から象の化石が発見された。印旛沼の開発のため、水資源開発公団が水路を作っているとき、その台地の表面から23~24m下の流木を含んだ泥質砂層から見つかった。当館古生物学研究室では現地にまだ化石が残っているという報を受け、ただちに発掘に出かけた。
公団、地元の方々の協力を得て、残りの発掘と現地の地質調査を行い、この象がナウマン象であることと、ほぼ完全な形で一頭分が埋もれていたものと推定した。しかし、すでに頭や四肢の半分程は、ブルドーザーで移動、破壊されてしまったものと思われる状態であった。最終的に残されていたのは全体の約半分ほどの量であった。
日本で最も多く発見されている象の化石はナウマン象で、およそ200個所におよび何千個もの化石骨が知られている。しかし、完全な個体はきわめて稀で復元組み立てられたものは一つもなかった。したがって、この個体がナウマン象の復元第1号である。
復元完了まで1年半を要したが、これは地元千葉県の関係者ご一同の熱意と、発掘に協力された中・高校生徒諸君ならびに製作に当った今星竜生氏のご協力によるものである。
このナウマン象の大きさは肩のところで2mを越え、前後の長さは牙を含めて4m近い。第2大臼歯を使用中で狭歯性、体格からみると瘦せ型で牙は大きい。これから推定20才前後の雄象と考えられている。
日本各地のナウマン象と比較することによって、この個体の特徴が明らかになるのであろう。半面、他の資料を調べるうえでひとつの基準となることが予想される。現在一号館一階に展示してある。
国立歴史民俗博物館